素直子は父の婚約者で、ピアノの家庭教師でもある桃子と本土復帰直前の沖縄にやってきた。数ヶ月前、直子は大村鶴男と名乗る沖縄の青年から手紙をもらい、自分たちは兄妹かもしれないというので、鶴男を訪ねて沖縄にやってきたのだった。下船した直子は、さっそく観光客に沖縄語を教えて金を稼ぐ青年と知り合う。彼こそが鶴男だったのだが…。
痛烈な批判精神で現代社会の欺瞞を糾弾し続ける映画作家・大島渚。松竹ヌーヴェル・バーグをけん引し、ATGと共にラジカルな作品を生んだ稀代の革命児が、ATGとタッグを組んだ最後の青春映画。本土復帰直前の沖縄を舞台に、まだ見ぬ兄を探し求めるひとりの少女の心の旅路を描く一方、日本本土と沖縄との愛憎溢れる複雑な関係性もあぶりだす。
1972年/日本/96分
監督・脚本:大島渚
キャスト:栗田ひろみ、石橋正次、りりィ、小松方正、殿山泰司