この世で一番大事なのは、“粋”に生きること。失くしちゃいけないのは“義理と人情”。それが原光子の生き方だ。妊娠9ヶ月でお腹の子供の父親とは別れ、金もなければ家もない。そんな過酷な状況下でも、どんと構える光子は、流れる雲を追いかけて、子供の頃に暮らしていた長屋にたどり着く。時が止まったままの長屋には、優しすぎて不器用にしか生きられない人々が肩を落として生きていた。
『川の底からこんにちは』で独自のユーモアを発揮し、世界から注目される若き奇才・石井裕也が、『時をかける少女』の仲里依紗を主演に迎えたユーモラスな群像劇。家も金もダンナもないが、義理人情には厚い妊婦が、自分のことはそっちのけで、困っている人々を助けようとひと肌脱ぐ。大きなお腹を抱えながら、粋に生きることを信条とする妊婦を仲が好演する。
2011年/日本/109分
監督・脚本:石井裕也
キャスト:仲里依紗、中村蒼、石橋凌、稲川実代子、並樹史朗、竹内都子、大野百花、近藤芳正