ある昼下がり、ピアニストのアイの心の中に、青空の彼方から“何か”が落ちてくる。時を同じくして、まったく別の場所で暮らす会社員のユウと高校生のケイも同じ感覚に襲われ、その場に倒れて気を失う。3人はすぐに何事もなかったように目覚めるが、その日を境に奇妙な思いに取りつかれるようになる。それまで気にも留めなかった些細な出来事が、何か大切なものを伝えているように感じられるのだ。
『溺れる人』の一尾直樹監督が、『そして父になる』の尾野真千子、國村隼、萬田久子ら実力派俳優を迎えて放つヒューマン・ドラマ。現実とネットの境界が曖昧になる現代社会を背景に、天空から舞い降りた“何か”に導かれた人々が、自分の内面世界に呑みこまれていくさまを描く。現代社会の希薄な人間関係に翻弄される人々を通し、自己存在の不確かさをあぶり出す。
2010年/日本/98分
監督・脚本:一尾直樹
キャスト:尾野真千子、郭智博、菊里ひかり、國村隼、萬田久子、麻生祐未、風間トオル