太平洋戦争も末期に近い昭和十九年、若い女性達は挺身隊の名で軍需工場で働いていた。精密兵器のレンズ工場では渡辺ツルら数十人の女性が寝食を共にして頑張っていた。成績は着実に伸びていったが、次第に疲労の色を隠せなくなっていった。同時に些細な事からいさかいも起こるようになり和は乱れていく……。
黒澤作品には珍しい若い女性の集団劇。監督自身、「私の一番可愛い作品」と述べている。撮影にあたっては、女優達から化粧や気取り、芝居っ気などを取り去る為、劇中で描かれている通りの集団生活を経験させた。またスタッフも工場の寮に住み込み撮影を行い、ドキュメンタリー・タッチのリアリティー溢れる作品となった。
1944年/日本/85分
監督:黒澤明
キャスト:入江たか子、矢口陽子、谷間小百合、河野秋武、志村喬、清川荘司、菅井一郎