夏のある日、ヘルシンキの街角に「かもめ食堂」という小さな食堂がオープンしました。その店の主は日本人の女性サチエ(小林聡美)でした。道行く人がふらりと入ってきて、思い思いに自由な楽しい時間を過ごしてくれる、そんな風になればいい、そう思ったサチエは献立もシンプルで美味しいものをと考え、メインメニューはおにぎりになりまして。しかし、興味本位に覗く人はいましたが、来る日も来る日も誰も来ない日が続きます。それでもサチエは毎日、食器をピカピカに磨き、夕方になるとプールで泳ぎ、家に帰って食事を作る、そして翌朝になると市場に寄って買い物をし、毎日きちんとお店を開く、ゆったりとしてヘルシンキの街と人々に、足並みを合わせるような、そんな時間を暮していました。サチエは、毎日真面目にやっていれば、いつかお客さんはやってくる、とそう思っていたのです。
2006年/日本/102分
監督:荻上直子
脚本:荻上直子
原作:群ようこ『かもめ食堂』(幻冬舎刊)
キャスト:小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ、ヤルッコ・二エミ、タリア・マルクス、マルック・ペルトラ