未だに止むこと無く世界の美術界を疾走する草間を、1年半もの間追い続けた渾身のドキュメンタリー映画がついに完成した。「生」と「死」と「愛」のせめぎ合いの中から湧きあがる草間芸術の真髄を、カメラは時には静かに、時には饒舌に記録し続ける。それだけに観る者を、有無をいわさず一瞬にして未知なる世界に引きずり込み、魂を激しく揺さぶる。
映画は、最新作となるF100号のモノクロ作品シリーズ「愛はとこしえ」50作が完成するその貴重な瞬間に密着する。真っ白なキャンパスから作品完成までを、定点カメラで捉えた映像は観る者を圧倒し続ける。まさしく世界中の草間ファンが注目し待ち望んだ、草間芸術の生まれでる瞬間に、私たちは立ち会い、そして目撃する。
今まで観ることの叶わなかった、草間の創作活動と日常。自らを天才と自負する揺るぎ無き自信、作品に挑む時の凛とした精神の高み、日常の佇まいに見え隠れする人間味あふれる表情と仕草など、映像の一つひとつが解き明かす草間ワールドは、永遠に見続けていても決して飽きることがない。
2007年/日本/103分
監督:松本貴子
キャスト:草間彌生