徳川七代将軍・家継の頃、勢力者の大奥女中江島と、江戸中村座の歌舞伎役者・生島新五郎の密通事件が世を騒がせた。江島は流刑、山村座廃絶、連座者千五百人に及び、江戸はこの噂でもちきりであった。
二年後、家継の死によって八代将軍・吉宗の治世となったある日、大奥お年寄・藤尾宛へ、紋之助という役者の入ったつづらが届けられた。早速大目付・矢野伝八郎の取調べが始まる。藤尾には身の覚えがないことを申し述べたが、御用屋敷にお預けとなり、藤尾に仕えるおこうは江戸城追放の処分となった。そして藤尾の後任には竹川が抜擢され、竹川は自分の下で働くお静に吉宗の伽を勤めさすようにした。
一方、藤尾の下にいたおるいとおせちは、この度の一件でいったい誰が藤尾を陥し入れようと計ったのか突きとめようと苦心していた。
数日後、おこうが大奥の入口を警護する成島伊助から、紋之助の相手をしていたのは「左の内股に大きなほくろのある女中」ということを聞き出した。その情報はおるいとおせへ早速知らせた。ある日、諸国大名より献上の「美女くらべ」が行われた。吉宗は金髪娘・サリーを大そう気に入り、毎晩のように可愛いがるのだった。ところがサリーの世話役をしていたおちせが吉宗の眼にとまってしまった…。