30年前。母・加代子が進一を出産中に、あろうことか母の実家に盗みに入った父・広志。「最初から騙すつもりだったんだろ?」と銃を構える叔父を、牧師・源一郎が止め、父・広志は“悪魔”として村から追い出される。進一は、母が知らないものを持っているだけで、母が「取ったのか?この悪い血が!」と狂うのを見て、父親は“触れてはいけない存在”として育つ。30年後、進一は、自分を甘やかす母親が見つけてくる仕事も続かない、一人では何もできない男になっていた。その頃父・広志は、舎弟を連れて、人を騙してはお金を巻き上げていた。ある日、村で連続空き巣事件が発生し、進一は母を始めとする村人たちに、「悪魔の子である進一の犯行にちがいない。警察に突き出す前に出ていけ」と言われ、牧師のいる離れた教会に駆け込む。「そっちに行く」という母親に「来たら進一は変わらない」と諭す牧師。一方、父・広志は、また事件を起こし、「俺にかっこつけさせてください」という舎弟・浩二に、「待っているからな」と言っても、実際には会いに行かない相変わらずの男で、ある日、牧師に金を借りに来る。「しばらくうちに来たらどうだ?」と提案する牧師。牧師は進一のことを「金持ちの息子」だと嘘を吹き込み、進一と広志は、お互い実の親子だとは知らないまま、二人の共同生活が始まる。