28歳の早川燕は、埼玉の父から台湾・高雄に住む燕の兄・龍心に、ある書類を届けてほしいと頼まれる。台湾人の母と日本人の父を持つ燕は、母の故郷である台湾・高雄で生まれ、日本で育った。燕を中国語で「イエンイエン(燕燕)」と呼んだ母は、燕が5歳のある夜、何も告げずに7歳年上の兄だけを連れていなくなってしまった。大好きだった母に「捨てられた」という思いだけが今も燕の心に強く残っている。母はどんな思いで自分を捨てたのか?なぜ手紙すらくれなかったのか?あれから23年の月日が流れ、燕は様々な思いを抱えて台湾−母の故郷、兄の住む街、そして自分が生まれた場所へと旅立つ――。