1895(明治28)年から1945(昭和20)年まで、実に51年もの間、日本の統治下にあった台湾。当時の日本は欧米への対抗意識もあり、インフラ整備や治安の維持に力を注いだ。教育の普及にも積極的に取り組み、学校教育は日本語で行った。そのため、この時代に教育を受けた人々は日本語を話すことができる、いわゆる“日本語世代”だ。彼らの歴史は、苦難の連続と言っても過言ではないだろう。第二次世界大戦が始まり、台湾人も日本軍として参戦するが、日本は敗戦。やがて、台湾は中国国民党政府による統治の時代を迎えた。しかし、その圧制に対する市民の怒りが、1947(昭和22)年の二・二八事件を招く。これをきっかけに、1949(昭和24)年から38年間の長きにもわたり、戒厳令が敷かれる異常事態に。この間、多くの台湾人が激しい弾圧にさらされ、台湾語や日本語の使用も禁じられた。“日本語世代”の台湾人たちは、口をつぐまざるを得なかったのだ。