クロード・アネの小説「マイヤーリンク」をもとに、19世紀のオーストリアで実際に起こった皇太子ルドルフと男爵令嬢マリーの悲恋を、柴田侑宏がドラマティックに描きあげた本品は、幾度も再演を重ね、宝塚歌劇を代表するミュージカルの一つ。1983年の初演から40周年となる2023年、30年ぶりに大劇場の舞台に甦る。皇太子ルドルフ(柚香光)は、次代のヨーロッパを担う才知に長けた後継者として他国にもその存在が広く知れ渡る青年であった。しかし、その生活は決して心安らかなものではなく、政略結婚で結ばれた妻との冷え切った関係が、彼に重荷となってのしかかっていた。一方、ルドルフの従兄弟であるジャン(水美舞斗)は、同じハプスブルク家の青年でありながら人生を謳歌していた。自分もジャンのように何にもとらわれずに生きる事が出来たなら・・・心密かにジャンの生き方に憧れを抱いていたルドルフ。だが、皇太子にそのような自由が許されるはずはなく、むしろルドルフのささやかな願いは次期皇帝の座を彼から奪おうと目論む者に利用されていく。そんな時、ルドルフとマリー(星風まどか)は出会ったのだった―。マリーの初々しい姿は鮮やかな印象をもって、ルドルフの心に深く刻み込まれる。マリーもまた、微笑みを湛えながら時折物憂げな表情を見せるルドルフに強く心惹かれ始めていた。マリーへの抑えきれぬ想いに身を焦がしたルドルフは、彼女を秘かに王宮の自室に招く。やがて逢瀬を重ねるようになった二人は、許されざる恋に身を投じていくのだった。ルドルフの人生に彩りを添えたマリーとの恋・・・しかし、それは政治的な思惑にも巻き込まれ、次第にルドルフの望まぬ方へと向かっていく―。 原作/クロード・アネ 原作/クロード・アネ/脚本:柴田侑宏、潤色・演出:小柳奈穂子
2023年/花組/東京宝塚劇場/キャスト:柚香光、星風まどか、水美舞斗