
近代フランス心理小説の傑作でありながらも、そのスキャンダラスな題材ゆえに世間から長く異端視されたラクロの「危険な関係」を原作としたラブ・ストーリー。1997年に高嶺ふぶき、花總まりにより初演、その後再演を重ねてきた名作ミュージカル。動乱に揺れる1830年のフランス宮廷を舞台に、周囲の女性たちを次々と虜にしていく美貌の青年貴族ヴァルモンと若き未亡人メルトゥイユ侯爵夫人の冷徹で官能的な大人の恋の駆け引きを描く物語。1830年、ナポレオン失脚後、再び王政が復活したフランス・パリ。貴族達は目まぐるしく変動する政情に不安を抱きつつも、暫しの安逸を貪っていた。そんな貴族達が創り上げる社交界に、ひと際注目を集める美貌の貴公子がいた。ジャン・ピエール・ヴァルモン子爵(朝美絢)―その類いまれなる才覚で、零落した家名を再興した青年貴族である。魅惑的で、婦人達との艶聞が絶えないヴァルモンだったが、かつての恋人メルトゥイユ侯爵夫人(夢白あや)だけは特別な存在だった。若くして未亡人となったメルトゥイユは、高嶺の花として一目置かれる才媛であり、ヴァルモンと対等に渡り合える唯一人の女性だった。心に仮面を付け、虚実とりまぜた社交界を華麗に生き抜いてきたヴァルモンとメルトゥイユは、ある時、気紛れに恋のゲームを始める。そこには、別れた今でも心の奥底で惹かれあう二人の想いが複雑に絡み合っていた。互いに求めてやまない存在であるにも拘わらず、心に付けた仮面を外すことの出来ないヴァルモンとメルトゥイユ。二人が始めた恋の駆け引きは、周囲の人々を巻き込み、思いもかけない事態を招くことになる―。 〜ラクロ作「危険な関係」より〜/脚本:柴田侑宏、演出:中村暁
2024年/雪組/キャスト:朝美絢、夢白あや