公正無私な忠義の国・韓（かん）国――この国の印象を天下の人々に植え付けた出来事は春秋時代に起きた。紀元前583年、晋（しん）国の大氏族である趙（ちょう）氏が無実の罪で殺戮に遭い、その血筋が絶えようとするなか、１人の人物が奔走していた。幼くして趙家に引き取られて育てられた晋の重臣・韓厥（かん・けつ）である。彼は命を懸けて趙氏の孤児・趙武（ちょう・ぶ）を晋国第26代君主・姫じゅ（き・じゅ）に引き合わせ、やがて趙氏の再興に一役買ったのだ。

戦国時代、最初の覇者となった魏（ぎ）国――その飛躍の理由は、士人の存在を抜きに語ることはできない。春秋時代末期、魏国初代君主・魏斯（ぎ・し）は、孔子（こうし）の弟子・子夏（しか）を国師に迎え、自らの師として仰いだ。特権を求めず富を持たない、学問と文化に身を捧げる士人たちにとって、子夏は魂の師であり、魏斯が子夏のために作った西河（せいか）学堂には、天下の士人たちが押し寄せることとなる。ここに集いし異才のなかから、平民出身の李かい（り・かい）が相邦（しょうほう）に登用され、魏は大改革へと乗り出す…。

「封神演義」の太公望として知られる姜子牙（きょう・しが）が立てた斉（せい）国――姜姓呂（りょ）氏が代々治めたこの国の運命を変える出来事は、こうして起こった。紀元前672年、陳（ちん）国の公子・陳完（ちん・かん）が内紛を逃れ、斉へと落ち延びた。斉国第16代君主で春秋五覇の１人である桓（かん）公は、ここに置いてほしいと言う逃亡者の願いを快諾。上卿を務めるよう伝えるも、恐縮して断る陳完に好感を持った桓公は、技官の長である工正の役目を与えるのであった。

戦国七雄のうち文化面で後れを取り、蛮夷と見なされていた秦（しん）国――後に天下を統一したこの国の転機は、“変法”によって訪れた。紀元前362年、秦国第25代君主としてえい渠梁（えい・きょうりょう）が即位した時、秦は存亡の機に瀕していた。魏（ぎ）国からの侵攻を受ける一方、国内では跡目争いが激化。不安定な状勢からの立て直しが迫られるなか、渠梁は才人の登用を宣言する。この窮地に現れたのが、魏を逃げ出た士人・公孫鞅（こうそん・おう）だった。旧習にしがみつく貴族に対し変化の必要性を説く彼に、渠梁は変法を命じ…。

紀元前232年、秦（しん）国の人質となっていた燕（えん）国太子・姫丹（き・たん）は、祖国へと逃げ帰った。天下統一を目論み他国への圧力を強める秦から、燕を守りたいと語る姫丹。しかし、父である燕王・姫喜（き・き）は、丹を足蹴にしたばかりか、「おとなしく秦に戻れ」と言い放つのだった。やがて姫丹は、かつて秦の将軍で今はお尋ね者となっている樊於期（はん・おき）を匿ってやることに。それを知った太傅・鞠武（きく・ぶ）は、秦が燕を攻撃する口実を与えるようなものだと諫めるが…。

紀元前262年に趙（ちょう）国の長平（ちょうへい）にて開戦した趙国と秦（しん）国との史上前例を見ない大規模な戦いは、２年が経過し、ようやく終わりを迎えようとしていた。戦神と称され、30年以上負けなしの白起（はく・き）が指揮を執る秦軍は、趙軍を分断して包囲。糧道を完全に断たれた趙軍は、何度も囲みの突破を試みるが、総帥の趙括（ちょう・かつ）を失うと、投降を決断するのだった。秦の捕虜となった趙人の数、実に20万人。懐の広い白起は趙人にも食事を与えると約束をするのだが…。

紀元前307年、秦（しん）国の王 えい・とうが急死した。在位わずか４年目での事故死で遺詔も残されておらず、新王は誰になるのかと宮中は浮き足立つ。えい・とうの父・恵文（けいぶん）王の、身分の低い側室であったびはっしもその１人だった。最有力である恵文王の庶長子・えい・そうが王位に就くと、彼から恨まれているびはっしは立場が危うい。彼女に残された道は、燕（えん）国に人質として送られた息子・えい・しょくをどうにか呼び戻し、即位させるしかなく…。

紀元前284年、斉（せい）国は恨みを買った燕（えん）国から反撃に遭い、国境では戦が繰り広げられていた。やがて斉の都・りんしが陥落。流浪の身となり、斉の東部にある即墨（そくぼく）へと至った人々の中に、田単（でん・たん）の姿もあった。公族・田氏の遠縁で爵位もなく、りんし市場の小役人だった彼の運命は、荷車の故障を防ぐための小さな発明が即墨の大夫の目に留まったことから大きく変わり始める。やがて、田単は燕軍を率いる楽毅（がく・き）と相対することに…。

紀元前244年、魏無忌（ぎ・むき）は、魏王である魏圉（ぎ・ぎょ）と、兄弟２人で酒を酌み交わしていた。兄の求めに応じ、各国の王の近況を語る魏無忌。だが、“魏王の様子はどうだ？”という問いには言葉を濁す。実のところ、彼は今晩どの夫人が兄と同衾するのかさえ知っていた。魏圉はその晩の夜伽の相手を刺し殺し、そんな弟を牽制するとともに、王の権威を示すのだった。なぜ魏無忌のもとに一国の王をおびやかすほど多くの情報が集まるのか――。彼はおよそ３千人の食客を抱えており…。

紀元前233年、肥下（ひか）の戦いにて、趙（ちょう）軍はかん・き率いる秦（しん）軍を下した。七国最大の兵力を誇る秦軍を打ち負かした趙の指揮官は、普段は北境の守りにつく李牧（り・ぼく）。秦の名将たちも尻込みする実力を持つ彼は、六国平定も目前だと思っていた秦王 えい・せいにとって、まさに疫病神のような存在であった。そんななか、李牧の本拠地である代（だい）で地震と飢饉が発生。趙の討伐には李牧を除くことが急務であるため、えい・せいはこれを好機と奸計をめぐらし…。

紀元前226年、秦王 えい・せいは次なる標的を楚（そ）国と定め、かつて楚の領土であった淮陽（わいよう）に、おじであり丞相である昌平君（しょうへいくん）を送り込んだ。楚の都・寿春（じゅしゅん）を攻めるための要衝である淮陽は、すでに攻略済みなのだが、淮陽の民たちはいまだ秦に帰順しようとせず、反逆者も多い。そこでえい・せいは楚王室の血を引く昌平君を起用し、人心を鎮めようとしたのだった。しかし、淮陽へと到着し、拷問される楚人を目の当たりにした昌平君の心は騒ぎ…。

皇太后から賜った縁談で金家の息子・金元宝と江家の娘・江暁萱との結婚が決まる。

鵞眉山から都へ出てきた玉麒麟は武芸の達人。

江暁萱になりすまして金家に潜入した玉麒麟。

夫婦は婚礼三日後に、南京にある花嫁の実家を訪問する旅に出ることに。

金元宝の体に月の形のアザがあるのを見て間違いなく養母の実子だと確信した玉麒麟。

宿で山賊に襲われるも得意の武芸で反撃し、金元宝と共に逃げ出した玉麒麟。

雪児と名乗った江暁萱は、協力を申し出た顧長風に李俊の居所を探してもらうことに。

山賊に捕まった金元宝を助けにやってきた玉麒麟は、彼と二人で馬に乗って逃げる。

小さな飲食店を営む我が家に辿り着いた玉麒麟は、ついに金元宝を養母・王慧蘭と引き合わせることに成功。

井戸に身投げしようとした江暁萱の代わりに、顧長風が誤って井戸に落下。

玉麒麟の協力で婦女誘拐・人身売買の拠点を突き止めた金元宝。

金夫人が満月の夜に琴の演奏会を開くことを提案。演奏会で琴の腕前を披露しなければならなくなった玉麒麟は…。

玉麒麟のことばかり考えてしまうようになった金元宝は、顧長風が調合した恋煩いの治療薬を飲んでみることに。

玉麒麟を好きなものの素直な態度が取れない金元宝。彼のイジワルで玉麒麟は金夫人の誕生日の祝宴を切り盛りすることになってしまう。

金元宝が養母の実子だという確かな証拠を手に入れたい玉麒麟。

玉麒麟が江暁萱の身代わりとなっていることが江夫人にばれてしまった。

金元宝、玉麒麟、顧長風、江暁萱の四人は東?河村を訪れる。

賊のアジトから逃げ出し、四人は無事に都へ戻る。

邸内の池で喜児の死体が上がり、彼女が自殺したと考えた玉麒麟と江暁萱は後悔の涙に暮れ、金家を出ていくことにする。