遼に嫁ぐ趙渝（ちょうゆ）に護衛としてついていくことになった展昭（てんしょう）は、包拯（ほうじょう）から遼に潜伏中の北宋の間諜・隼（はやぶさ）に協力するようにと密命を受ける。一方、展昭から遼に行ったら一生戻れないかもしれないと打ち明けられた莫研（ばくけん）は自分も一緒に行きたいと返答。寧晋（ねいしん）が強引に展昭に勧めたお見合い相手とこっそりすり替わると展昭の本心を聞き出し…。

趙渝（ちょうゆ）は覇州知府・李戸の妻で叔母に当たるほうろうの身の上話を聞いて、結婚から逃げようと決心。遼の民に変装して街を歩いていたところ、恋人の行方を捜すある男性と出会う。その後、連れ戻された趙渝は観念して遼に輿入れするが、蕭（しょう）太妃ら遼の皇族たちは好戦的な態度。しかも、現れた結婚相手の耶律洪基（やりつこうき）は趙渝が街で出会った男性で…。

破談にすると息巻く趙渝（ちょうゆ）に問い詰められても、耶律洪基（やりつこうき）は郡主・蕭観音（しょうかんのん）と想い合う仲であるとは認めない。そんな中、莫研（ばくけん）は歌舞・文才に続いて武芸を競うことを提案し、展昭（てんしょう）と仮面を着けた副使・耶律菩薩奴（やりつぼさつぬ）が弓矢対決に臨む。その勝負が引き分けに終わって両者の緊張関係は和らぐが、その晩、蕭（しょう）太妃が何者かに暗殺されて…。

蕭（しょう）太妃の暗殺事件を調査し始めた莫研（ばくけん）は、趙渝（ちょうゆ）と耶律洪基（やりつこうき）の結婚を妨害することが目的だと思われる真犯人の裏をかくことに。そんな中、叔父・耶律重光（やりつちょうこう）と水面下で対立する耶律洪基が寧晋（ねいしん）に手を組もうと持ちかけてくる。一方、間諜・隼（はやぶさ）から投げ文を受け取った展昭（てんしょう）は待ち合わせ場所へ。すると、そこに現れたのは意外な人物で…。

蕭観音の兄・蕭信（しょうしん）の招きで寧晋（ねいしん）と展昭（てんしょう）は妓楼へ。それを隠して嘘をついた展昭に腹を立てた莫研（ばくけん）は趙渝（ちょうゆ）と街へ行き、偶然出会った蕭信を不審に思う。そこで一人で蕭信の幕屋へ行くが、彼の罠にはまって貞操の危機に!? その頃、暗殺集団・暗花の主導者を追う展昭と隼（はやぶさ）にも間諜をあぶり出そうとする耶律重光（やりつちょうこう）の罠が待ち受けていた…。

展昭（てんしょう）は耶律重光（やりつちょうこう）の命で現れた耶律菩薩奴（やりつぼさつぬ）と戦い自分から崖下へと落ちる。そんな彼を助けたのは莫研（ばくけん）だった。一方、耶律菩薩奴は蕭信（しょうしん）に追われて怪我をした趙渝（ちょうゆ）を寧晋（ねいしん）とともに救って展昭らと合流。皆の前で自分が間諜の隼（はやぶさ）で蜀中六悪の6番手、騙閻王・蘇酔（そすい）だと明かす。こうして師兄と再会を喜び合った莫研は展昭と婚儀を挙げて…。

展昭（てんしょう）、寧晋（ねいしん）らは耶律重光（やりつちょうこう）を捕らえようとするも失敗。その後、耶律重光の兵に追われた展昭は莫研（ばくけん）と一緒に山中へ逃亡するが、そこには毒気が充満しており体が弱っていた展昭は倒れてしまう。そんな彼を必死に助けた莫研は、山頂の安全な小屋に逃れてしばらく二人で滞在することに。ところが、展昭は彼女を置いて姿を消して…。

展昭（てんしょう）の訃報から1年。開封府の捕頭となった莫研（ばくけん）は心に空いた穴を埋めるかのように忙しく働いていたが、趙渝（ちょうゆ）と耶律洪基（やりつこうき）の婚儀に合わせて寧晋（ねいしん）とともに再び遼を訪問する。ただし、この旅には耶律重光（やりつちょうこう）と密かに通じている太師・ほうきつも同行していた。そんなきな臭い雰囲気の中、莫研は仮面の耶律菩薩奴（やりつぼさつぬ）が蘇酔（そすい）ではないと感づくと…。

不正金事件解決に向け密かに計画を進める寧晋（ねいしん）は耶律洪基（やりつこうき）と手を組もうとするが、彼が出した条件は耶律菩薩奴（やりつぼさつぬ）に死んでもらうことだった。一方、耶律菩薩奴の暗殺に失敗したほうきつは現在の耶律菩薩奴は展昭（てんしょう）ではないかと疑い始め、その正体を確かめようとする。また、婚儀が明日に迫る中、趙渝（ちょうゆ）は勇気を出して蘇酔（そすい）に愛を告白するが…。

蘇酔（そすい）は心に秘めた愛を口に出せないまま、耶律菩薩奴（やりつぼさつぬ）として花嫁の趙渝（ちょうゆ）を護衛する役を務めることに。だが、花嫁行列は刺客に襲われ、胸に矢を受けた趙渝は蘇酔の前で息を引き取る。その後、暗殺の首謀者として耶律重光（やりつちょうこう）が逮捕される。そして、計画通りに事が運んだことを喜ぶほうきつと、寧晋（ねいしん）、莫研（ばくけん）は趙渝の遺体とともに宋へ戻り…。

反乱軍を配置し謀反の準備を整えたほうきつは満を持して皇帝に退位を迫る。そこで趙渝（ちょうゆ）の死が偽装だったこと、ほうきつが籠絡したつもりでいた耶律洪基（やりつこうき）は寧晋（ねいしん）の味方だったことが明らかになる。だが、見仙石で痛みを感じない無敵の兵士となった反乱軍が宮中になだれ込み、ほうきつは皇帝と莫研（ばくけん）を人質にして逃走。それを追いかけた展昭（てんしょう）は…。

都でも名の知れた大侠・玉麒麟（ぎょくきりん）――その正体は、江湖に憧れるじゃじゃ馬娘の顔知夏（がん・ちか）だった。ある日、彼女に“裏の仕事”の依頼が。しかし、依頼人である宦官の王（おう）が金を支払わずに姿を消したせいで、知夏は借金を背負うことに。約束の金を取り立てるため、宮中に忍び込んだ知夏だったが…。

「どうか私が選ばれないように尽力を」――皇帝の側仕えになりたいかと聞かれた顔知夏（がん・ちか）は即答した。目の前にいる厳錦（げん・きん）こそが皇帝陛下その人なのだが、知夏は彼を御前侍衛だと信じ込んでいるのだ。一方、知夏の答えにムッとした厳錦は、彼女の勘違いにつけ込んでからかってやろうと悪戯心が湧き起こり…。

実は厳錦（げん・きん）が皇帝だったと知り、茫然自失の顔知夏（がん・ちか）。厳錦はそんな彼女を前にして、なぜ知夏――三宝（さんぽう）を側仕えとして指名したかを語り始めるのだった。同じ頃、知夏の父・一航（いつこう）は、投獄された林（りん）丞相の孫で、娘の許婚でもある晏清（あんせい）のもとを訪ねていた…。

厳錦（げん・きん）の婚姻――それは権勢をふるう太后とその従兄であるきょう・や大将軍にとっては、将来を左右する大問題。密談を重ねる２人は、きょう・やの娘・止月（しげつ）を妃とし、今後も厳錦を自分たちの思いどおりに操ろうと画策するのだった。一方の厳錦は、先頃耳にした三宝（さんぽう）についての噂話が頭を離れず…。

「こんな所へ何をしに来た？」。林珂（りん・か）は、目の前に現れた孫・晏清（あんせい）の姿に驚き、そう問いかけた。しかし、答えは明白である。濡れ衣を着せられた林丞相を、力ずくで救い出しにきたのだ。そこに、もう１人の人物が。皇帝・厳錦（げん・きん）の“師匠”である。その言葉に、今度は晏清が驚く番だった…。

幼なじみである厳錦（げん・きん）への想い――ひと度戦場に出れば怖いものなしのきょう・しげつ

「消されるとか？」。頭から大きな袋を被せられ、何者かにさらわれた顔知夏（がん・ちか）は、最悪の事態を覚悟した。ところが、連れていかれたのは安楽（あんらく）公主のもとだった。知夏――三宝（さんぽう）の秘密をネタに、一緒に遊んでと迫る安楽。仕方なしに応じた知夏だったが、ふと皇宮を脱出する方法を思いつき…。

皇宮を出た顔知夏（がん・ちか）は、許嫁である林晏清（りん・あんせい）のもとへ。女性らしく着飾ったその姿に、思わず見とれる晏清。そんな彼に知夏は、厳錦（げん・きん）から託された“ある物”を手渡すのだった。一方、知夏の去った皇宮では厳錦が塞ぎ込んでいた。その“恋わずらい”は、周囲の者がいぶかしむほどで…。

掌事太監に封じられた三宝（さんぽう）のもとを訪れた顔（がん）尚書は仰天する。目の前にいるのは娘の知夏（ちか）ではないか。驚いたのは知夏も同じこと。とっさに２人は、再会を喜ぶ友人同士ででもあるかのように笑い合ってその場をしのぐのだった。そんななかきょう・やは、ある人物を陥れるための策を巡らせていた…。

濡れ衣を着せられた林晏清（りん・あんせい）が牢の中で暗殺されないよう、きょう・やに釘を刺した厳錦（げん・きん）。相手の掌の上で踊らされているかのように振る舞いながらの見事な逆襲に、顔知夏（がん・ちか）は感心することしきりだ。しかし当の厳錦は、“許婚”である晏清の身を案じる知夏の様子が面白くないようで…。

したたかに酔って、厳錦（げん・きん）と一緒に眠り込んでしまった顔知夏（がん・ちか）。目を覚ましてみると、酒を受け付けない体質の厳錦は、息も絶え絶えの様である。慌てて胡（こ）侍医を呼んだ知夏だったが、診察の最中に太后が現れた。こんな姿の陛下は見せられないと、知夏は太后の行く手を阻もうと試みるのだが…。

男好きの陛下は三宝（さんぽう）がお気に入り――そんな噂が皇宮中に広まっていた。しかし厳錦（げん・きん）には何やら考えがあるらしく、敢えて噂を打ち消そうとはしなかった。一方、摩薩（まさつ）国の兵の多くが疫病に倒れたとの報告を受けたきょう・やは、己の野望を遂げるべく、国内の地固めに乗り出すことを決心し…。

きょう・やは、怪しげな奇術師・鬼元良（き・げんりょう）を配下に加えたらしい。しかも、摩薩（まさつ）軍に広まった疫病も、この奇術師と無関係ではないようだ。様々な謎が渦巻くなか、動き出す厳錦（げん・きん）。一方、林晏清（りん・あんせい）に熱を上げる安楽（あんらく）公主は、彼を救う秘策を胸に牢へ…。

中秋節の夜、“若様”に扮した厳錦（げん・きん）は、顔知夏（がん・ちか）と共に街へ出た。やってきたのは都一番の妓楼・翠春院。厳錦によると、年に一度の“花魁の夜”という催しが目当てなのだという。翠春院に足を踏み入れるや否や、女将を相手にひと悶着起こす厳錦。「あの気性の荒い女将は何者だ？」――厳錦の問いに、知夏は…。

海（かい）総管の最期――その意外な振る舞いは、厳錦（げん・きん）に困惑を、きょう・やに怒りをもたらした。その死を知らぬ太后は、海総管が音信不通であることを気にかけながらも、半月後に秀女選びを執り行うことを決めるのだった。そんななか、厳錦の密命を帯びた“師匠”は、摩薩（まさつ）国の軍営を訪れていた…。

摩薩（まさつ）国の可汗・耶律銘（やりつ・めい）が都に現れ、陛下との謁見を求めている――突然舞い込んだ知らせで、秀女選びは延期に。思いがけぬ出来事に驚きながらも、きょう・やはそこに厳錦（げん・きん）の企みを見抜くのだった。宴席で対面を果たした厳錦と耶律銘。そこで耶律可汗は、思いもよらぬ要求を突き付け…。

実母の生存を確信した厳錦（げん・きん）は、秘密を握ったまま死んだ海（かい）総管の隠し部屋を捜索していた。そこで祭壇にまつられた名前の書かれていない霊位を見つけた２人は、先帝が残した“遺産”について思いを巡らせるのだった。同じ頃、浮生閑趣閣を調べていた李（り）乳母は、三宝（さんぽう）が女である証拠を見つけ…。

「婚約を解消して」。顔知夏（がん・ちか）の言葉に、狼狽する林晏清（りん・あんせい）。しかし、知夏にとって自分は“兄”でしかないこと、そして彼女の厳錦（げん・きん）への想いが本物であると知った晏清は、その願いを聞き入れてやるのだった。そんななかきょう・やは、厳錦と耶律銘（やりつ・めい）を対立させるべく、行動を起こし…。

顔知夏（がん・ちか）が婚礼を挙げる？――思わせぶりな手紙に心をかき乱された厳錦（げん・きん）は、密かに皇宮を抜け出し、ひと目でいいから知夏に会おうと決めた。しかし、その企みはあっさり露見してしまう。厳錦の不在を知った太后は、諸悪の根源は三宝（さんぽう）であると断じて、見つけ次第処刑するよう命を出し…。