自分の命が残りわずかだと悟った子鳶は、わざと道楽を冷たく突き放す。一方、馮夕は屋敷に絵師を呼び、冬月との姿絵を描かせることに。その後、冬青（とうせい）花の下で互いの愛を確かめた2人。だが、馮夕は冬月のことを忘れる時間が日々長くなり、記憶をとどめようと思い詰めたせいか吐血する。語柔は馮夕が冬月の記憶をなくしていると知り…。

馮夕を苦しめているという語柔の言葉を思い返し、馮夕との思い出が記された短冊を燃やした冬月。翌日、語柔から馮夕が書いたという婚約解消書を突きつけられ、馮府を追い出される。しかしすべては、これ以上馮夕に負担をかけないため、冬月が語柔に頼んだことだった。冬月が馮府を出たと知ったほうぎょくは御風（ぎょふう）閣へ来るよう誘うが…。

聞心にねだられて盆栽の品評会に出かけた冬月。そこには馮夕と語柔も来ており、2人のむつまじい様子を見て複雑な気持ちになる。そんな中、数合わせのために冬月が生けた不格好な冬青花が品評会に出されることに。馮夕はなぜかその冬青花に惹かれて…。その頃、方元（ほうげん）は陸遠潼（りくえんとう）のもとを訪れ、馮夕こそが明（めい）家の残党であると忠告していた。

瀕死の陸征明（りくせいめい）を連れ、楊芹（ようきん）の家を訪ねた馮夕と冬月。冬月は馮夕に妻を殺されたはずの楊芹の穏やかな態度を見て、疑問を持つ。楊芹の家で傷を癒やすことにした馮夕は、“朝露（ちょうろ）”と名乗る冬月と過ごすうち、懐かしさを感じ始めるのだった。その後、馮夕と冬月はある宿に身を隠す。そこには符遠山（ふえんさん）も潜んでおり、馮夕は降伏状を彼に託し…。

都へ戻った冬月は馮夕から恩返しをしたいと言われるが、別れを告げて去っていく。一方、息子の陸征明を馮夕に陥れられたと考えた陸遠潼は、自ら馮府へ乗り込む。道楽と子鳶が応戦する中、姿を現したのは陸征明を連れた馮夕だった。馮夕は2日以内に黒幕を捕らえると約束。そして、方元とほうぎょくが結託していたことを暴き出し…。

冬月に関する記憶を失った馮夕だが、自分が書き記していた帳面を見て、冬月こそが自分の愛した女子（おなご）ではないかと思い始める。海棠紅（かいどうこう）に冬月を招き、「夕月（せきげつ）記」を観る馮夕。影絵人形を手に2人で「夕月記」を演じ、冬月から真実を引き出そうとするが…。その頃、ほうぎょくは馮夕を捕らえるために冬月を利用することを決意していた。

遠山を救うため御風閣に乗り込み、大怪我を負って昏睡状態となっていた道楽だが、希少な還魂（かんこん）丹を飲んで目を覚ます。しかしその薬は、毒に冒されて余命わずかな子鳶のために処方されたもので、子鳶が道楽に譲ったものだった。一方、馮夕から完成した2人の姿絵を見せられた冬月は、彼が記憶を取り戻したと思い喜びに満ち溢れるが…。

馮夕と冬月とともに花灯節（かとうせつ）を楽しむ聞心。出店の兎（うさぎ）の玩具に目を奪われるが、不遜な男が先に買ってしまう。馮夕は「虎が兎をくわえて戻る」と言って、代わりに虎の玩具を購入。数日後、兎を買った男が現れ、聞心に兎を差し出した。喜ぶ聞心だが、このことがぶんぎょうの運命を変えることに…。一方、子鳶は降伏状を手に入れるために動き出す。

冬青（とうせい）花の入れ墨は彫り師に彫らせたという馮夕（ふうせき）。事実と異なる話を聞いた冬月（とうげつ）は、彼が記憶を思い出したふりをしていたことに気づき動揺を隠せない。一方、屋敷を出ていく前に馮夕の書斎へ入った語柔（ごじゅう）は、明（めい）家の先祖の位牌（いはい）が並ぶ部屋で復讐を誓う馮夕の姿を見てしまう。その頃、ほうぎょくのもとに降伏状を手に入れたというぶんぎょうの文（ふみ）が届くが…。

父親・ぶんぎょうを殺した犯人を目撃していた聞心（ぶんしん）は、命の危機にさらされながらもほうぎょくに報告。ほうぎょくは皇帝に事情を伝えに行くが、そこで衝撃の事実を知る。一方、ぶんぎょうと冬月が親子であることに気づいた馮夕は、ぶんぎょうの代わりに文を書いて川に流す。それを読んだ冬月と聞心は心癒されるのだった。そんな中、陸遠潼（りくえんとう）は馮夕を呼び出すが…。

馮夕と語柔の婚礼後に、挙兵を目論む陸遠潼。しかし、馮夕を救い出すために現れた冬月によって、婚儀が中断される。語柔は陸遠潼に冬月を殺せば玉璽（ぎょくじ）を渡すと言い放ち、冬月は兵に囲まれる。しかし陸遠潼が奪った箱に玉璽は入っていなかった。彼に刺された語柔は命が薄れゆく中、2人の姿絵を大切に持っていてほしいと馮夕に告げるが…。

陸征明（りくせいめい）から馮夕は明家の残党で落ち延びた第二皇子だと聞いたほうぎょくは、事実を探る。一方、語柔の遺品である姿絵の中から玉璽を見つけた馮夕と冬月。その後、陸遠潼が執拗に狙っている玉璽について、冬月は馮夕の口からその真相を聞く。馮夕の素性やこれまでの謀略の目的まで、すべてを知って受け入れた彼女は馮夕に求婚するが…。

方元（ほうげん）は馮夕と冬月の婚礼の日が、馮夕を捕らえる絶好の機会だと考えていた。一方、婚礼前夜に馮夕と酒を酌み交わす慕容芸（ぼようげい）。そこで彼への想いを口にするも受け入れてもらえず、静かに心に蓋をする。そして訪れた婚礼の日。失踪していた方元が突入してくるが、何者かに殺されてしまう。死ぬ間際、方元は冬月にある鍵を手渡して…。

方元の死後、彼が所有していた店が次々に買われていることを怪しんだ馮夕は、道楽（どうらく）に店を捜索するよう頼む。その頃、皇帝から馮夕を取り逃がしたことをとがめられたほうぎょくは、禁足を命じられていた。方元が遺した鍵の真相を1人で追う冬月は、皇帝が方元に宛てた衝撃的な文を見つける。そして、その文を持って皇帝に謁見するが…。

爾玉（じぎょく）も覚えていなかった曲を完成させ、幸せなひとときを過ごしていた馮夕と冬月。しかし、冬月は時に体が透き通って様子がおかしい。玉笛（ぎょくてき）の導きで爾玉と出会った馮夕は、冬月の命が残り少ないこと、また冬月の命は自分の命でつなぐしかないことを知る。数日後、文蔚（ぶんい）殿で親子として再会した馮夕と皇帝だが、互いに思惑を秘めていて…。

皇帝殺しの犯人だと名乗り出て、投獄された馮夕と冬月。陸遠潼の陰謀を知る2人は、死をもってほうぎょくの即位を後押ししようと考えたのだ。そして迎えた処刑の日。盧川（ろせん）が遠くから様子を見守る中、ついに刑が執行される。馮夕の訃報を知った陸遠潼は挙兵の時機を見計らうが、ほうぎょくが裏で手を回していたおかげで馮夕と冬月は生きていた。

定遠（ていえん）の乱を前に晴れて夫婦となった馮夕と冬月。2人を媒酌人として道楽と子鳶（しえん）も祝言を挙げ、最終決戦を迎える。前世で馮夕が陸遠潼に殺された、竹鳴（ちくめい）駅での戦いを避けようとする冬月。だが、罠（わな）に気づいた陸遠潼は竹鳴駅に陣営を張る。竹鳴駅を訪れた馮夕と冬月に対し、皇位略奪への協力を呼びかけるが、2人の心はすでに決まっていた。

東伯烈（とうはくれつ）と墨陽瑜（ぼくようゆ）の長男・東伯雪鷹（とうはくせつよう）は、福円（ふくえん）節に家族と食卓を囲み、雪鷹（せつよう）領の平和と幸せを願う。皮肉にもその晩、黒衣の男が雪鷹領に現れ、墨陽瑜を渡すよう要求する。男の正体は墨陽瑜の兄・ぼくようちんであり、墨陽瑜の持つ太古（たいこ）血脈の力を手に入れようとしていた。

毀滅（きめつ）山脈に潜む魔人について調べ上げた者に龍山（りゅうざん）楼が黒鉄令（こくてつれい）を与えると知った東伯雪鷹は、宗凌（そうりょう）と共に毀滅山脈へ。盖斌（がいひん）率いる彎刀盟（わんとうめい）に襲撃され絶体絶命のピンチに陥るが、突然現れた若き法師に助けられる。行方が分からないままの母・墨陽瑜と同じ法術を操るその女性・余靖秋（よせいしゅう）の実力と美しさに目を奪われる東伯雪鷹。助太刀に感謝して自ら名乗り、名前を尋ねるが冷たくあしらわれてしまう。彎刀盟に追われる彼らはひとまず洞窟に身を隠すが…。

淵（ふち）の中へと戻った東伯雪鷹と余靖秋は洞窟の入口を見つけ、結界を破り奥へと進んでいく。すると大勢の魔人が繋がれており、盖斌が手下と共に潜んでいた。魔毒に侵された余靖秋は法術を使うことができず、東伯雪鷹は苦戦を強いられるが、池丘白（ちきゅうはく）と宗凌が現れ、水が押し寄せる洞窟から間一髪で脱出する。魔人の件を龍山楼に報告した東伯雪鷹は黒鉄令を手に入れ、母親の行方を捜してほしいと楼主・司安（しあん）に依頼するが、盖斌を捕らえるよう命じられ…。

東伯雪鷹は龍山楼で母親の居場所を聞き出すが、弟の東伯青石（とうはくせいせき）を巻き込まないよう、誰にも告げず真夜中に雪鷹領を出発する。その頃、龍山国最大の規模を誇る武器舗の店主・孔海（こうかい）は、娘・孔悠月（こうゆうげつ）の許嫁（いいなずけ）だった東伯雪鷹が立派な若者に成長したと聞き、縁談話を進めることに。その孔悠月は、盗賊に襲われたところを偶然にも東伯雪鷹に助けられる。ぼくようちんの修練場・雷潮涯（らいちょうがい）に乗り込んだ東伯雪鷹は、ついに捕らわれの身である母親との再会を果たすが…。

母親を救い出せず失意の東伯雪鷹は自分の実力不足を痛感し、傷も癒えぬまま激しい稽古を続けていたが、1人だけでの修練には限界があることに気づき、ある決断を下す。一方、無事に孔（こう）府へと戻ってきた孔悠月は、身を慎むよう父親から説教をされたあとで、いい縁談話があると聞かされる。最初は強く反発していた孔悠月だったが、相手が東伯雪鷹だと知り俄然乗り気に。だが東伯雪鷹は縁談を断り、長風（ちょうふう）学院に入って指導を受けると皆に告げる。

逃げた灰袍（かいほう）をおびき出すため、東伯雪鷹はわざと盖斌を脱獄させることを提案。池丘白、余靖秋と共に、魔族と連絡を取り合おうとする盖斌の後をつけ、ある場所へとやって来る。3人が様子を見ていると、予想どおり灰袍が現れ盖斌はあっけなく殺されてしまう。立ち去ろうとした灰袍は池丘白の攻撃を受けてりくろうせんによる傷を負うが、報告のために奥蘭（おうらん）のもとへ。奥蘭は灰袍に魔人を連れて南琴（なんきん）へ向かい、封印された神魔（しんま）の井戸を襲撃するよう命じる。

血刃酒館（けつじんしゅかん）の館主・ようばいは、刺客のこうほううんが魔族だと推察していたが、灰袍の行方を追う元老たちが訪ねてきても、関わりになりたくないと協力を拒む。その頃、白源之（はくげんし）に弟子入りした東伯青石は法術の修行に励んでいたが、なかなか思うように術を操ることができない。一方、長風学院の入学試験を翌日に控えた池丘白は歩小希（ほしょうき）を訪ね、魔族に対抗するための人材を育てたいと熱い思いを語る。東伯雪鷹と余靖秋もまた、互いに健闘を誓い合うのだった。

龍山（りゅうざん）国の優秀な若者たちが集う長風学院の入学試験は一見簡単そうに見えたが、自分自身の悪夢に打ち勝つという難関だった。東伯雪鷹と余靖秋の他、孔悠月と孔昊（こうこう）姉弟（きょうだい）、司徒鴻（しとこう）と司伯栄（しはくえい）、濮陽波（ぼくようは）など多彩な顔ぶれの彼らは、それぞれが得意な分野で智恵を出し合い、協力して課題を突破、見事試験に合格する。さっそく翌日から始まった基礎課程の講義で学長の池丘白は、騎士であれ法師であれ、向上するためには強固な土台が必要だと生徒たちに説く。

孔悠月は想いを寄せる東伯雪鷹のために食事を作ったり洗濯を申し出るなど積極的にアプローチするが、東伯雪鷹は全く関心がない。そんな孔悠月のことが気になる濮陽波は、彼女のために花を摘んで来たり何かとちょっかいを出す。一緒に修行をしていくうちに互いの実力や性格が明らかになり、トラブルメーカーの司伯栄は、優等生で仲間からも一目置かれている東伯雪鷹への対抗心を露わにする。そんなある日、大勢の魔族が長風学院を襲撃し…。

仲間たちと街に出掛けた東伯雪鷹は魔族を見かけて後を追い、こうほううんと出くわす。それが灰袍だと気づき深手を負わせるが自分も負傷してしまう。司徒鴻と司伯栄に灰袍を捜すよう頼み、余靖秋に介抱されて休息をとるが回復せず、街に戻って源石（げんせき）を買うことに。しかしどの武器舗に行っても源石は売り切れだった。不審に思った東伯雪鷹たちは源石を買い占めた客を尾行し、盧家堡（ろかほう）へと行き着く。一方、灰袍を追った司徒鴻たちは悪魔に包囲され…。

魔族の拠点の1つを破壊した東伯雪鷹が称賛される一方で、悪魔を食い止めるべく奮闘した自分たちが全く評価されず複雑な心中の司徒鴻と司伯栄。余靖秋の優しさと聡明さに触れた司徒鴻は温かな気持ちになるが、司伯栄は東伯雪鷹の存在がますます疎ましくなっていく。東伯雪鷹が池丘白や歩小希から源石をもらうところを目撃した司伯栄は…。一方の東伯雪鷹は、体内の闘気が自分で制御できないほど強大になっていることに不安を感じていた。

闘気を制御する術（すべ）を習得するため稽古に打ち込む東伯雪鷹。焦りの気持ちから体内の闘気が暴れ出そうになるが、居合わせた池丘白の助けで事なきを得る。その頃、雷潮涯のぼくようちんのもとに二祭司が現れ、殺傷能力の高い血煉神兵（けつれんしんぺい）を10日以内に10本完成させろと命じる。ぼくようちんは傘下の錬金場で製造させようとするが製造工程は複雑で、大量の血霊石（けつれいせき）が必要だという。太古血脈の効力が血霊石に匹敵すると知ったぼくようちんは墨陽瑜を錬金場へと引き立て…。

仙界と魔界による壮絶な戦いの決着から14年。人間界で暮らす物乞いの虫子（ちゅうし）は泥棒だと疑われ、見せしめとして吊るされていたところを仙門の尊者（そんじゃ）・洛音凡（らくいんはん）に助けられる。しかし洛音凡にもらった菓子をいじめっ子に奪われ、怒りとともに邪気を爆発させてしまう。そこに現れた仙門の尊者・楚不復（そふふく）に「人に殺意を向けてはいけない」と諭される。この世に絶望し、神仙はいないと思っていた虫子だったが、楚不復の勧めで仙門への弟子入りを志す。