偶然ユウ王と面紗越しに口づけをしてしまった錦覓は、今までにない胸の動悸を感じていた。その頃、洞庭湖に住む恩主は彦佑に、亡き鼠仙に代わって人間に転生した旭鳳を殺すよう命令していた。時同じくして、魔界からも旭鳳を追ってリュウ英、そして滅霊族で天后の密偵である奇鳶が人間界に降りていた。錦覓のおかげで回復したユウ王は、錦覓を手料理でもてなしたその日の内に、錦覓へ手紙を残して山を去る。

ユウ王のための人参を無断で使った罪に問われていた錦覓に、都からユウ王の病を治す聖医女召喚の知らせが来る。その責務を負うことになった錦覓は都に向かう。都に到着すると錦覓は占い師に扮した彦佑と出会い、からまれる。侍従に促されて錦覓らが茶館に入ると南平侯が現れ、今後は王の病状を南平侯に全て報告するよう錦覓に命じる。そして王の身に何かあれば錦覓も一族も危うくなると言い含めるのだった。

人間界でリュウ英を助けた奇鳶は、かつて魔界でリュウ英と恋仲だった暮辞であったが、奇鳶は知らぬふりをして姿を消す。ユウ王がカラスだったと知った錦覓だが、王付きの聖女として診察を継続していた。ユウ王が病はないのに具合が悪いと訴えるので、伴の羌活は恋煩いではないかと騒ぎ、錦覓にたしなめられる。王が聖女を気に入っているという話は侍女たちの間で噂になり、やがて転生して南天侯の娘になった穂禾の耳にも届き…。

王の容態が悪いと知った南天侯は、王の体調が戻るまで軍務は傅相と自分が取り仕切ると申し出る。傅相はあまりに出過ぎた申し出をする南天侯に意見するが、王の後継者がいない現状では、自分たち以外にはどうすることもできないと南天侯に言いくるめられる。その頃、リュウ英は命がけで奇鳶を呼び出していた。そして、滅霊族の攻撃から自分を守った奇鳶が失踪を遂げたあの日に、一体何が起こったのかを聞き出そうとする。

錦覓は聖族の叔母からユウ王に仕える聖女として王を守るように、との文を受け取る。錦覓は王と共に、国を乱す者をおびき出す決意をし、南天侯には王の毒殺の計画をより慎重に進めたいとわざと進言してみせる。一人になった錦覓を穂禾が呼び止め、父と何を企んでいるのかと問い詰められるが、蛇になった彦佑が現れ大騒ぎになる。南天侯の企みを傍観することができない傅相は、ユウ王に早く妃を娶り世継ぎを作るべきだと上奏するが…。

リュウ英に素顔を見られて奇鳶は暮辞であることを隠しきれなくなる。そして傷が完治していないリュウ英が倒れ、奇鳶は自分の隠れ家でリュウ英を見守ることにする。彦佑は旭鳳の命を自らの手で奪えず、手に入れた滅霊矢をユウ王の座上に仕掛け、運を天に任せることにする。奇鳶は天界に戻り天帝に人間界で滅霊矢を失ったことを報告し、さらに、人間界には転生している旭鳳を狙って魔界だけでなく彦佑らも降りてきていることを告げる。

ユウ王は錦覓を呼び、鳳凰灯を一緒に作らせる。そして錦覓のために自ら作っておいた沢山の鳳凰灯を飾り付けして見せ、驚かせる。ユウ王にときめきを覚える錦覓だが、聖医女としての立場から、ユウ王と距離を置こうとする。その頃、ユウ王が錦覓に灯籠を贈ったことを聞きつけ穂禾がいらだっているところに奇鳶が現れ、穂禾の天界での記憶を蘇らせてしまう。人間界でも旭鳳と錦覓が接近していることを知った穂禾は…。

彦佑がユウ王の席上に仕掛けた滅霊矢は未だ吊されたままであり、彦佑はそれが天意だと悟る。洞庭湖に戻り、恩主から旭鳳の暗殺の状況を尋ねられた彦佑は、旭鳳には何の罪もないと訴えるが、実の子を天帝に奪われた恨みを抱く恩主は、その敵として旭鳳を殺害するよう執拗に迫るのだった。狂気じみた恩主を止められるのは、潤玉しかいないと思った彦佑は、鼠仙と自分の関係を疑う潤玉に答えは洞庭湖の下にあると誘う。

母である恩主と再会し、幼い頃の記憶を取り戻した潤玉。恩主は潤玉と会わせた彦佑を責めるが、かつての自分に起こったことを語りだす。魚族公主の恩主は、父王と共に天界に滞在した折、身分を偽った天帝と知り合い密かに恋に落ち、天帝の血筋を持つ龍の子を産む。天帝から贈られた霊火珠を見た天后が二人の関係に気づき、魚族は皆殺しとなり、恩主は子供まで奪われることに。そして恩主は天界への復讐を誓ったのだった。

ユウ王は錦覓を呼び、自ら影絵を操り二人の出会いから今までを演じてみせる。お酒に酔った勢いで錦覓はユウ王に気持ちを告白し、その瞬間に錦覓の中の隕丹が割れる。洞庭湖に近づく潤玉を追った天后と奇鳶は、彦佑を倒そうとする。すると恩主が現れ、天后と因縁の対決を始める。駆けつけた潤玉が恩主は自分の母だと行って命乞いするも、天后は潤玉の目の前で最後の留めをさしてしまうのだった。

母を殺され激怒する潤玉が天后に戦いを挑むと、水神が現れ二人を止める。水神は洞庭湖での一件を天帝に報告し、息子である潤玉と錦覓のためにも、天后の行いを公正に処分するよう求めるが、天帝には受け入れがたかった。奇鳶は天后から錦覓を殺せばリュウ英と一緒に暮らせるようにすると言われ、密かに希望を抱きリュウ英の元に戻る。錦覓の気持ちを知ったユウ王は戦から戻ったら自分の皇后になって欲しいと頼む。

ユウ王の命を狙った南天侯だったが、娘の穂禾がいることを知り攻撃の手を止める。そこで穂禾はユウ王を守るために、自ら南天侯を刺殺してしまう。穂禾はユウ王に、父を亡くして頼るものを失った自分を娶って欲しいと頼むが、ユウ王は断り錦覓の元に戻っていく。羌活に盛られた毒によって体力を失いつつあった錦覓だが、戦場から駆けつけたユウ王に心配をかけまいとして嘘をつく。その頃、穂禾は錦覓を始末する策を考えて…。

錦覓の亡骸とユウ王は結婚式をし、ユウ王も自ら命を絶って錦覓と添い遂げる。魂となった旭鳳と錦覓は、二人揃って天界へと戻った。天后は、錦覓は歴劫修行を失敗したので、花神への上神を反対するが、天帝は錦覓を花神へと上神させる。しかし錦覓は花神になるには自分は力不足であり、今は水神の側にいたいと願い出る。そして、人間界で花界の友人が殺された敵を討ちたいと訴え、潤玉との婚姻も先に延ばすのだった。

天后の命令により、潤玉は自ら手で洞庭湖に残る一族を処分するか、母の代わりに罰を受けるかを選択させられる。潤玉が罰を受けるのを見ていた天帝と水神が現れ、とどめを刺そうとしていた天后を止める。そして潤玉には天帝から恩赦が与えられ、天界に二度と逆らうことのないよう命令を下す。親子や夫婦としての愛情よりも帝としての立場を重んずる天帝の真意に傷ついた潤玉は、天帝への復讐を誓うのだった。

花界にいる錦覓は旭鳳から待ち合わせの手紙を受け取る。その頃、天界の旭鳳の元にリュウ英が訪れており、人間界で滅霊矢を使った暮辞のことを打ち明け、暮辞は何者かに操られていて、錦覓を殺そうとしたのはその人物だと教える。天后が関係していることを感じた旭鳳は、自分が錦覓を愛していること、そして錦覓に危害を加えたらただではおかないと告げ、天后は激怒する。その夜、旭鳳と錦覓は酒を酌み交わし…。

天后は潤玉に喪に服す期間の外出を禁じ、さらに魚族規定の喪服か天界規定の喪服を着るかの選択を迫り、圧力を与える。天帝から天界での均衡を守るように諭された潤玉は屈辱に耐えつつ天界の喪服を選び、彦佑から渡された母の形見を手にして涙を流すのだった。月下仙人の寿席でコウ露と父の太巳仙人父娘を目にした穂禾は、旭鳳を取り戻すために人間界で慕っていた父親の南天侯のことを思い出し…。

意識を失っている暮辞の夢を見るために、リュウ英は錦覓に魘獣を借りる。魘獣が吐き出した夢の中には天后が奇鳶となった暮辞に錦覓を人間界で殺すように命じる場面や、奇鳶が自らの体内から滅霊矢を作り出す場面が次々に映し出されるのだった。全ては天后の仕業だと知ったリュウ英は、錦覓に肉肉を殺したのは自分の大切な友人だったと謝罪し、友人を操り錦覓を殺そうと企てたのは全て天后だったと教えるのだった。

天后と対決し、追い詰められた錦覓を救いに旭鳳が現れる。そして旭鳳は、錦覓とは既に深い関係だと告白し、錦覓を守るために既に子供もできていると嘘をつく。怒った天后がとどめを刺そうとすると、潤玉、水神、天帝が現れ錦覓を助ける。水神の怒りと旭鳳の言葉から天后が梓芬を殺害していたことを初めて知った天帝は激怒し、天后の位を剥奪して投獄する。意識を取り戻した暮辞にリュウ英は、一人で苦しんできたことを慰める。

天帝に旭鳳への帝位と、穂禾との婚儀を認めるよう懇願する天后。その姿に、夫婦の情に駆られた天帝は、結局は天后の要求をのんでしまう。一方、ソク離の姿絵を前に敵討ちを誓う潤玉。そこへ彦佑が、鳥族の隠雀と魔界が繋がったと伝える。だが潤玉は、そうなるのも不思議ではないと、至って冷静なままだった。その頃、穂禾との婚儀を聞かされた旭鳳。だが錦覓への想いから、天帝の申し出を拒んでしまい…。

毒から奇鳶を救った穂禾は、屍解天蚕の駆除を条件に、滅霊矢を作るよう奇鳶に詰め寄る。そんな穂禾に、鳥族の食糧が無くなったとの知らせが入る。隠雀から責任を迫られた穂禾は、三日以内に解決すると約束する。その後、天帝へ文を書いた穂禾だったが、潤玉の企みにより天帝からの返事をもらえずにいた。三日後、食糧問題の未解決を指摘する隠雀に、魔尊との密会について問いただす穂禾。そこへ潤玉が現れて…。

宮外から錦覓の様子をうかがう穂禾。そこへ錦覓に薬を届けに洛霖が訪れる。その後、部屋を後にした洛霖の元に旭鳳が姿を見せる。すると旭鳳は突然、洛霖に攻撃を仕掛ける。不意打ちを食らった洛霖だったが、そこへ臨秀が助けに入る。だが旭鳳の攻撃に太刀打ちできず、二人は息絶えてしまう。知らせを聞いた錦覓は、消えゆく洛霖達を前に号泣する。側には、先ほどの非情な面持ちとは打って変わった旭鳳がいた。

魘獣が吐き出した夢の玉を見て洛霖達の死の事実に驚愕する錦覓。すると錦覓は、かつて潤玉から聞いた夢録のことを思い出す。すぐさま夢録を見ると、魘獣が吐いた夢の玉が旭鳳のものだったと確信する。そんな中、彦佑と共に潤玉の元に戻った鯉児。彦佑に、自分と潤玉のどちらに付いてくるか問われた鯉児は、潤玉と答える。一人その場を後にしようとする彦佑の姿に、潤玉は彦佑を本当の兄弟だと見なしていたと呟く。

魔尊の死の真相を三日以内に調査すると固城王に約束した旭鳳。そこで魔尊の死を知る魔医から、魔尊の死が絳珠草の毒によるものだったと明かされる。魔音谷に生息する絳珠草は、鳥獣や魔族を毒殺し七万年前に魔族によって焼き払われ絶滅したという。すると奇鳶は、密かに絳珠草を再び栽培し、投獄された離川という男のことを思い出す。ひとまず離川から話を聞き出すべく、結界へと侵入した旭鳳たちは…。

洛霖の願いのため、やむなく潤玉へ嫁ぐこととなった錦覓。そんな錦覓から一束の黒髪を託された旭鳳は、三日後の婚礼式まで辛抱するよう錦覓に告げる。一方、反乱計画を前夜に控えた潤玉とコウ露。その計画を見通していた旭鳳だったが、何が潤玉を争いに駆り立てるのか分からずにいた。その後、旭鳳の元を訪れた潤玉。幼い頃の出来事を思い起こす二人だったが、旭鳳にとっての良い記憶は、潤玉にとっては悪夢であった。

目の前で旭鳳が倒れた衝撃で、旭鳳との思い出を蘇らせる錦覓。だが錦覓も、突然口から大量に出血し倒れてしまう。それと同時に、体の中の隕丹も一緒に吐き出された。倒れた旭鳳の姿を目の当たりにした天帝は、旭鳳の魂を収集しようと霊力を使い果たし、そのまま命を絶ってしまう。錦覓が昏睡状態に陥ってから半年。その間に潤玉は天帝へと即位した。潤玉の即位大典が終わる頃、ついに長い眠りから錦覓が目を覚ます。

月下仙人の元を訪れた彦佑。だが月下仙人は、もう天界にとどまることができないと漏らし、錦覓への感情も無くなったと話す。そんな中、潤玉との関係について話した彦佑。更には錦覓の擁護をする彦佑に、二重の恨みを持った月下仙人は、怒りでその場を後にする。一方、栖梧宮を訪ねた錦覓は、旭鳳との思い出の樹が枯れているのを目にする。悲しみを抑え、樹を蘇らせようとする錦覓だったが、その思いは叶わず…。

潤玉の発言により、ようやく旭鳳への疑いが晴れた錦覓。突如、めまいで倒れてしまった錦覓は、夢の中でもう一人の自分と対峙し、旭鳳への想いを改めて確信する。その後、旭鳳の霊魂の行方を忘川の老人に尋ねる錦覓。だが老人から、散った魂は戻すことができないと告げられ、呆然と川の畔に佇む。すると突然、錦覓の前に旭鳳が姿を現した。慌てて旭鳳を追うも届かず、旭鳳の姿はどんどん遠ざかっていき…。

魔界へ降り立ち、卞城王と同盟を結ぶ潤玉。だがそこへリュウ英が姿を現し、卞城王に旭鳳を殺した張本人であると暴かれてしまう。リュウ英の乱入により同盟は破談となるも、怒りを募らせたリュウ英は天界へ先陣を切ることを誓う。一方錦覓は、毎日のように宮中に籠もっては、旭鳳の絵をひたすら描くばかりであった。その後、再び忘川に足を運んだ錦覓は、老人と再会する。旭鳳への想いを告げる錦覓に、老人はある事実を教える。

天帝の兄弟である廉晁は、旭鳳を救う金丹を作るのに使う玄穹の光を錦覓に渡すのと引き換えに、錦覓の色覚を奪う。天后を思う廉晁の願いを聞いて、錦覓は天后に廉晁の思いが入った色覚の玉を渡し、廉晁の最期を伝える。廉晁の自分への変わらぬ思いを知り、過去を振り返りながら天后は自ら命を絶つ。金丹に玄穹の光を注入した錦覓は、玄穹の光の影響で倒れ込む。錦覓の体を心配した潤玉は…。

金丹ができあがり、喜んで魔界へと向かう錦覓を潤玉は見ていた。錦覓が魔界の忘川に来ると、船頭に人違いをされ、穂禾が魔界を訪れていたことを感じとる。穂禾の武器と足跡を見つけた錦覓が用心深く探ると、穂禾と卞城王が洞窟で密会している様子が聞こえてくる。二人が去ったあと、洞窟に入った錦覓は横たわる旭鳳の姿を見つける。そして錦覓が与えた金丹の効力で、旭鳳は復活を遂げるのだった。